2015/03/06 練心庵落語会 三月席

記:納谷久美子

 

桂優々さんの 練心庵 落語会、今回は落語2本立て!「道具屋」と「がまの油」でした。優々さんいわく「短い話やから」とのことですが、今回は、枕も落語も、その後の陸奥賢さんとの対談も面白くて、いつもの2倍楽しめた感じで、お得でした。

さて、枕とは何か?落語というものは、落語家が出てきたらすぐに物語が始まるのではなく、まずは「最近あったおもろい話」などをします。これを落語用語で「枕」といいます。

今回の枕は、花粉症の話と、ネットの悪口について。優々さんは、お客さんにどう思われているのかを気にして、ネットで検索するのだそうです。「あいつは声がでかいだけやな!」など、お決まりの悪口がいくつかあるそうです。「落語家は、ほめられたほうが伸びるタイプの人が多いと思いますので、どんどんほめてください!」とおっしゃってました。

ほな、ほめましょかね~。優々さんは、もちろん声がでかいのですが、でかいだけじゃなくて、はっきり発音してくれるので、私のような落語初心者は助かります。

「かわりに私が全部しゃべったろかー」というぐらい、落語に詳しいお客さんなら、聞き取れない部分があっても、どんな場面か、すでに知っているので、ちゃんと笑えます。でも、落語初心者は、何を言ってるのか聞き取れないと、どういう場面なのか分からず「みんな笑ってるけど私だけ笑えない」という寂しいことになります。

優々さんは、声も大きいし、はっきり発音するし、さらに動きも派手なので、わかりやすくて助かります。他の人が笑ってるところで必ず自分も笑えます。優々さんは、名前の通り、初心者に「優しい優しい」落語家さんですよ。

あ、ついでに、優々さんは花粉症だそうで、「ほんまに効くんかいな。まあ腸には良いわな。」と、ヨーグルトを食べるようにしているそうです。

さて、レポートの枕が長くなりました。そろそろ落語の話をします。

今回の「道具屋」は、へたくそな古道具売り(の、見習い)が、夜店で古道具を売ろうとして、失敗ばかりする話です。良い場所も取れず、公衆便所のとなりで道具を広げて頑張ります。

「がまの油」は、ガマガエルの油を「こんなによく効くぞ!」と上手に売るおっちゃんが、酔っぱらって大失敗する話です。大失敗したところで「あー、ここで話が終わるんやな」と思ったら、そこから優々さんは、ある小物を次から次へと出してきました。私も会場の皆さんも「まだ出るんかい!」と最後まで大笑いしました。

その後の対談で、「道具屋」に出てきた公衆便所について、陸奥さんの解説がありました。昔、公衆便所と交番は、となりどうし、セットで建っていたそうです。なぜなら、昔は農家が肥(こえ)を高く買ってくれていたため、公衆便所の肥を盗むやからがおり、盗まれないように交番が隣にあったのだそうです。

その話を聞いて、ハッ!と思い浮かべたのは、難波の戎橋(えびすばし、通称ひっかけ橋)です。南側に交番と公衆便所がありますよね。なんであんなところに公衆便所があるんやと思っていました。そこらに店がたくさんあって、いくらでもトイレがあるのに、なんで橋にトイレなんか作ったのか?なんでトイレとセットみたいに、となりに交番があるのか?今回の解説を聞いて納得しました。昔の名残なんですね。

落語を聞いて笑って、解説を聞いて大阪の町に詳しくなる。町を歩きたくなる。そんな練心庵の落語会は、毎月開催しています。次回もどうぞご来場くださいませ。ではまた来月。