2015/03/13 練心庵彼岸会・節談説教

記:多谷ピノ

 

3月13日(金)、練心庵で彼岸会が行われ、直林不退先生の節談説教をお聴聞しました。

お説教の古い形である節談説教は、七五調で抑揚の付いた節で語られる部分があるのが特徴です。浪曲、講談、落語などの基礎になるほど、日本の語り芸能に影響を与えました。

しかし、近代化に伴い、布教の純化を求める声が高まったこともあり、節談説教は一時、衰退の道を辿りました。口伝で伝えられていたこともあり、今日では節談説教ができる方は数少なくなっています。

直林先生は、節談説教の研究者でもあると同時に、その数少ない伝道者のおひとりでもあられます。

しかし、いざお説教が始まると、そういった知識は頭の隅に押しやられ、大きなうねりの中に放り出されたような、不思議な感覚にとらわれました。その声量、響き、語られる内容すべてがひとつの流れを作りだし、すべてが圧倒的でありながら、なぜか「しっくりくる」のです。日本の芸能のルーツになっていることを実感しました。

 

その後の釈先生との対談で、直林先生は、讃題、法説、比喩、因縁、結勧といった構成要素や、「初めしんみり、中おかしく、おわり尊く」など、具体例をあげてお説教の解説をしてくださいました。

しきりに「節談説教の構成の妙」をあげてご謙遜される直林先生でしたが、あの場をひとつにまとめ上げたのは、やはり直林先生の宗教者としての高潔なお人柄だと思いました。「私、節談話してる時が、一番楽しくて有り難いです」というお言葉にそれがあらわれている気がいたします。

皆さんが涙を拭う場面も見られ、本当によい時間を過ごさせていただきました。直林先生に心より感謝いたします。

また皆様からも彼岸会ということで、尊い御懇志や御供をお預かりいたしました。本当にありがとうございました。